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受講者の学びと現地への貢献に本気でコミットする、アルーが提供する海外派遣研修「社会課題解決プログラム」とは?

グローバル人材育成の需要が高まる中、海外研修のニーズは、語学習得や海外体験に留まらない、本気の課題解決やビジネス体験から学びを得るものに広がっています。アルー株式会社では、こうした企業のニーズの変化に応えるべく、長年の海外派遣研修の知見を活かして「社会課題解決プログラム」を企画しました。現地の都市や農村で触れた生の情報を元に、実際に社会課題解決に取り組む団体に本気でプランを提案することを通して、受講者の学びだけでなく、現地への貢献を目指す本プログラム。
本記事では、グローバル人材育成を担当するグローバル人材育成事業部(以下 GHR事業部)の3名をゲストに、海外派遣研修プログラムとしてのこだわりのポイントや開発の背景にある想い今後の展望などについて話を聞きました。

この記事は、特にこのような方におすすめです。
・海外で通用するグローバル人材を育成したい
・海外派遣研修、海外インターンに関心がある
・SDGs、ESG投資、社会課題解決に関心がある

プロフィール


逸見雄一郎
アルー株式会社 グローバルHRコンサルティング部 部長 (兼)
グローバルHRソリューション部 部長
大手人材派遣会社を経て、アルーに入社。人材育成のコンサルタントとして関西支社立ち上げを経て、教育研修事業全体の納品責任者と、海外派遣研修の納品拠点であるインド現地法人の責任者を兼務。ビジネスプロセスマネジメント部の創設を経て、グローバルHRコンサルティング部、グローバルHRソリューション部にてグローバル事業推進に貢献。

水野俊樹
アルー株式会社 グローバルHRソリューション部
心理カウンセラーや、アジア・アフリカ8カ国での中小企業の海外販路開拓支援、フィリピンでのODAプロジェクト実施経験を経て、アルーに入社。グローバル人材育成プログラム・異文化コミュニケーションプログラム・社会課題解決プログラム・e-learning等の企画・開発・海外関係者との運営を行う。

駒木根利哉
グローバルHRソリューション部 ソリューショングループ GM(兼)
プロセスマネジメントグループ GM
ITベンチャー企業を経て2014年にアルーに入社。人材育成のコンサルタントとして、人材育成体系の構築支援、研修企画および組織開発等の業務に携わる。現在は、海外派遣研修や英会話サービス「ALUGO」など含むグローバル人材育成サービスのデリバリー部門にて商品開発、研修企画・運営のマネジメントを行う。


本気で社会課題の解決に挑戦する海外派遣研修


‐今回は、グローバル人材育成を担っているGHR事業部の3名をお迎えして、新しい取り組みである「社会課題解決プログラム」のお話をうかがいたいと思います。はじめに、みなさんが所属するGHR事業部の組織の役割について教えてください。

逸見雄一郎(以下 逸見) アルー株式会社 グローバルHR事業部の部長の逸見です。私から、GHR事業部について簡単に紹介をさせていただきます。アル―では、2010年からグローバル人材育成の取り組みをはじめ、2019年に専門部署としてグローバルHRコンサルティング部(以下 GHRC)が設立されました。その後、体系的に事業を進めていくために、2023年にGHR事業部が発足し、GHRCとグローバルHRソシューション部(以下 GHRS)の2部編成となり、今に至ります。

GHR事業部で提供しているサービスやメンバーの特徴について教えてください。

逸見 グローバル人材育成サービスの1つの柱として、海外派遣研修があります。海外派遣研修は、国内の研修と比較して、期間が1週間~4週間と長く、人数は12名未満のことが多いため、非常に濃い密度で受講者と向き合うことになります。受講者の中には、最終日に「こんなに自分が変わった経験は初めてだ」と言って涙を流す人もいて、運営メンバーは、一人ひとりの成長や変化に対して強い思いを持っている人が多いと感じています。
海外派遣研修はこれまでの自分とは異なる非連続的な成長に繋がる体験人生の転換点となる様な機会を提供することがポイントになると言えるかもしれません。

水野俊樹(以下 水野) アルー株式会社 グローバルHRソリューション部でプログラムの開発を担当している水野です。逸見さんのお話の通り、海外研修ではブレイクスルー体験をつくりたいという思いがあります。例えば、40代半ばの受講者の方に、「これまでの人生の中で一番変化を感じた研修でした」 とおっしゃっていただいたことがありました。その方は、その後中国に赴任されたのですけど、「あの時の研修が現場で活きています」というメールをくださいました。そのくらい一人の人生に影響を与える意味のプログラムを提供していきたいと考えています。
はじめは、「自分はグローバルで通用するはずがない」と言っていた人が、研修が終わる頃には、「いけるかもしれない」というマインドに変わっていることもあります。キャリアのターニングポイントとなる様な学びの機会を提供するという点で、アルーの「人の可能性を切り拓く」というミッションにつながる事業であると考えています。そのため運営メンバーは、「本気の取り組みを通じて、研修の最終日に泣いてしまうようなプログラムを提供したい」という熱い思いを持っている人が多い気もします。

‐ここからは「社会課題解決プログラム」の具体的な内容について、お話をうかがっていきたいと思います。まずは、プログラムの概要について教えてください。

水野 急速に発展する新興国の中で、実際に社会課題に触れ、様々な関係者と接点を持ちながら、ビジネスと社会課題解決の両立を踏まえて、どのように解決するかのプランの策定に取り組んでいただくプログラムとなっています。企業様の事業内容やニーズに合わせて、SDGsの17の目標の中から、取り
組むテーマを設定。テーマに合わせて、実際に現地で社会課題解決に取り組んでいるNPO団体と連携をして、直接課題についてのヒアリングと解決策の提案ができる機会を提供します。
現在、提供しているのは、マレーシアに2週間滞在して、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に該当する社会課題に取り組んでいただくプログラムとなります。マレーシアは、糖尿病の罹患率が高いという社会課題を抱えており、健康と福祉に関するテーマは多くの企業様にとって自分事化しやすく取り組みやすいテーマであるという点から、このようなテーマ設定を考えました。

※プログラムの詳細についてはこちら

水野 大まかな流れとしては、はじめに事前研修を受けた後、実際に現地に行って連携している協会やNPOから、社会課題についてのレクチャーを受けます。その後、現地の方々とチームを組んで、都市や農村へのフィールドワークを通して、学生、ビジネスパーソン、大学教授など様々な人へのヒアリングを実施します。現地での情報収集をした上で、解決策を考える際には、SDGsコンサルタントによるアドバイスを受けながら、最終的に解決策を現地の団体に提案するというスケジュールになっています。

‐非常に実践的なプログラムであるという印象を受けますが、本プログラムでこだわったポイントについて教えてください。

水野 本プログラムでは、実際に現地に行って本気で社会課題に解決に挑戦していただくことで、受講者に人生のターニングポイントとなる機会を提供すること、また、受講者の学びだけに留まらず現地の方々への貢献に繋げることを目指しています。そのために、現地のNPO団体やSDGsコンサルタントなど本当に社会課題の解決にコミットしている人に関わってもらうこと現地でしか触れられない生の情報に触れる機会を提供することにこだわりました。

駒木根利哉(以下 駒木根) アルー株式会社 グローバルHRソリューション部の駒木根です。私は長年海外派遣研修の企業様への納品を担当してきました。今回の研修には、これまでアル―が取り組んで来た海外派遣研修の知見がつまっています。その中でも、やはり大きなポイントは、実際に社会課題の解決にコミットしている、現地の団体やSDGsコンサルタントと連携している点です。単にお題を出してプランを考えてもらうだけだと、提案して終わりになってしまいます。また、社会課題に詳しい有識者と言っても、課題にコミットしていない人からのアドバイスは受講者に響きません。そうした点から、実際に社会課題の解決にコミットしている、現地の団体やSDGsコンサルタントから、本気のフィードバックをもらえるということがプログラムの充実のために重要であると考えています。

水野 最終的に現地への貢献に繋がる質の高い提案をしていただくために専門家からのフィードバックが重要であると考えています。例えば、解決策が単発で終わらずに、持続可能なプランになっているか、SDGsのどの目標とリンクできるのか、日本の当たり前の基準で物事で考えていないか、など。現地の実状を踏まえた上で、実現可能なプランにするために考えるべき視点を提供します。 また、合わせて個人的にこだわった点としては、フィールドワークの際に、都市部だけではなく、農村に行く機会をつくったことです。これまでの研修では、都市部の中間層の方々との接点が中心だったのですが、今回社会課題を考える上で、そこだけにフォーカスするの では不十分だと考えました。現地の社会の現状に肌身で触れていただくということを意識して、農村に行く機会をつくりました。

ポイント
・海外派遣研修では、これまでの自分とは異なる非連続的な成長に向けたターニンポイントとなるような学び(=ブレイクスルー体験)を提供することを目指している
・「社会課題解決プログラム」では、新興国の中で、実際に社会課題に触れ、様々な関係者と接点を持ちながらビジネスと社会課題解決の両立を踏まえたプランの策定に挑戦する
・実際に社会の解決に取り組んでいる人たちの協力を得ることで、本気で提案を考え、本気のフィードバックをもらうことができる。また、受講者の学びに留まらず、実際に現地に貢献することを目指している

企業のニーズと社会貢献にコミットする

‐改めて本プログラム開発に至る経緯や、開発にあたっての思いについて教えてください。

水野 元々、いくつかの企業様から社会課題の解決に取り組めるプログラムはないかというお問い合わせをいただいておりました。当時アル―には提供できるプログラムがないことで他社に切り替えられるなど悔しい経験をしたこともありました。そのような企業様のニーズに、前職で国際協力の活動をしていた私自身の思いが重なって、本プログラムの開発がスタートしました。

逸見 10年以上海外研修を続ける中で企業様のニーズが変化してきたと感じています。2010年に取り組みをはじめた頃は、 TOEICの点数は高いけど、英語は話せないという課題を持ったビジネスパーソンが多く、語学習得や海外体験を目的としたプログラムがメインでした。その後、英語を話す機会はオンラインなどで確保しやすくなり、受講者のレベルが上がってくるにつれて、現地で実際にビジネスや社会課題の解決に挑戦したいという声を聞くようになりました。そうしたニーズに応えるために、「リアルビジネス課題解決プログラム」や「社会課題解決プログラム」を企画しました。

駒木根 企業様のニーズに応えるという点では、ESGへの投資は世界中で注目されている領域なので、そこに本気で取り組めるプログラムであるということは大きなポイントであると考えています。アルーのお客様は日本の大手企業が多いのですが、日本で活動をしようとすると、どうしても会社のラベルがついてまわります。全く新しい環境でゼロベースで解決策を考え提案することができるというのは海外派遣研修ならではの経験だと思っています。良くも悪くもマレーシアでは、日本ほど自社の会社名やブランドは浸透していないケースが多いです。すると、現地の方々とやりとりをする際に、所属している組織ではなく、その人自身が問われてくる。どうやってプロジェクトを進めていくか、一人ひとりの実力で勝負する環境を提供することに繋がるのです。

水野 あくまで前提としてお客様のニーズがあってのことなのですが、実際にプログラムの内容を考える際は、私の前職での国際協力活動の経験や、社会貢献に対する思いを活かしています。
私は元々、8年間発展途上国の社会課題の解決に取り組むJICAや外務省のODAプロジェクトの仕事をしていました。主に、母子保健の領域で、赤ちゃんの死亡率が高い地域の課題を解決する活動に取り組んでいました。社会貢献に直結する仕事は非常にやりがいがあって、ずっと続けたいと考えていたのですが、活動を続けている中、日本企業の皆さんが現地のスタッフとなかなか信頼関係が築けなくて意義のあるプロジェクトが中断してしまうケースに数多く遭遇して大きな課題を感じていました。社会課題の解決と、日本人と海外の人との信頼関係構築、2つのことに挑戦したいという思いから、アル―に入社しました。
その後、海外派遣研修を通して、様々な企業の方々と関わっていく中で、若い世代を中心に社会課題に対する感度が高い人が多く、具体的な社会課題に関連するテーマを提示するとドライブがかかって夢中になって課題に取り組む様子を見て、人材育成の観点から、社会課題解決に取り組むプログラムをつくりたいと思いました。

‐本プログラムを開発する中で課題を感じたこと、大変だったことはありますか?

水野 教室型研修では、受講者のニーズと人事のニーズを満たすプログラム作りが求められます。一方、今回の社会課題解決プログラムでは、それに加えて、連携している現地の団体のニーズも満たさなくてはなりません。最終的に提案するプランの内容が全く役に立たなければ、「せっかく時間を投資したのに、このくらいの提案しかしてくれないなら辞めます」となりかねません。私たちの目標は受講者の学びと現地への貢献なので、どのようにして、現地の方々にとって本当に価値のある提案をできる状態をつくるかということは特に頭を絞って考えています。
これまでの取り組みとしては、受講者に事前課題として日本のグッドプラクティスを集めて共有をしてもらうことや、SDGsコンサルタントを入れるなど受講者のアウトプットの質を高めるための工夫を重ねています。
実現可能性の高い提案を受講者が形にできれば、現地で取り入れていただけます。また、帰国後、受講者が自社のSDGs担当の人と連携をすることで、会社の社会課題解決への取り組みの原動力になるという可能性もあります。現地NPOと日本の会社両者に良い影響が及んでいくといいなと思っています。

ポイント
・グローバル人材育成のために、単なる語学学習や海外や異文化体験に留まらず、海外に滞在して本気でビジネスや社会課題解決に挑戦させたいというニーズが増えてきた
・海外の国際協力活動の現場を見ている中で、日本の企業と現地のスタッフの信頼関係の構築が上手くいかずにプロジェクトがうまくいかなという課題を目の当たりにして、社会課題解決、日本人と海外の人の信頼関係の構築の両立ができるプログラムをつくりたいと考えた
・研修の中で、現地の方々に役立つ提案をすることや、研修が終わった後、受講者が会社の中で、学びを活かして、SDGsの取り組みを促進していくなど、受講者の学びに留まらず、関わった方々や企業、社会全体にインパクトを与えられる取り組みにしたい

アジアNo.1のビジョンに向けて、様々な国でSDGs17目標の研修プログラムの展開を目指す


‐最後に今後の展望について教えてください。

逸見 お話したように企業の海外研修のニーズは変化しています。最近多いのは、現地で実際にビジネスの体験をするインターンシップのニーズです。期間については2週間程度から半年という長期までニーズが多様化してきています。現地で実際にビジネスを経験させたいけど、自社の拠点がなく受け入れ先を探しているというお問い合わせをいただくことが多く、このような企業様からの新しいニーズにしっかり応えられるプログラムもこれからも提供していきたいと思います。そのためにもまずは、「社会課題解決プログラム」や「リアルビジネス課題解決プログラム」を多くの企業様に体験いただいて、そこから得られた知見を元に、さらなるプログラムの開発に繋げていけたらと思います。

駒木根 私は、アルーが大事にしているコンセプトでもある、育成の成果にこだわっていきたいと考えています。研修を単発のイベントで終わりにしない。しっかり育成の成果を可視化して、関係者の方々に効果を実感していただける状態をつくりたいと考えています。ありがたいことに、現状、受講者からの評価は非常に高いのですが、研修をより多くの方々に届けるためには、企業の経営層、受講者の職場の方々に喜んで送り出していただくためにお客様の企業の中で認知を上げていく必要があると思っています。そのためには、現地の研修の様子をお伝えするということから、育成の成果を見せていく必要があると考えています。例えば、ALPath_globalいうアセスメンツールがあるのですが、事前、事後の状態を測定して、変化を実感してもらえると良いなと。
また、個人的には、海外派遣研修で訪問させていただいている国にしっかりと還元をしていきたいという思いがあります。今回の研修プログラムに協力いただいているのは、実際に現地で日々懸命に社会課題に向き合っておられる方々なので、そこに報いることができるように国や地域に貢献することを真剣に考えていかなければならないと思っています。

水野 様々な方々の協力のおかげで自信をもっておすすめできるプログラムができたので、これから、多くの企業様に納品して、現地に人々を送り込んで、現地のNPOの方々から「ありがとう」という声をもらって、受講者が自社でプロジェクトを展開していくのを見届けるというのがまずは一つ目の目標です。
二つ目は、SDGs の17個の目標それぞれの領域で活動している団体が集まり、企業が重視しているSDGsのテーマに応じた多様なプログラムが提供できる状態をつくっていきたいと考えています。
三つ目は、アル―が掲げるアジアNo.1というビジョンに向けて、マレーシア以外にも世界中の様々な国や地域でプログラムを展開していけるといいなと思っています。

ポイント
・多様化する企業のニーズに応えて海外派遣研修プログラムを充実させていきたい
・育成の成果を見える化することで、企業の経営者、スポンサーなど様々な関係者に研修の意義を伝えたい
・SDGs の17個の目標すべてで提供できるプログラムを開発して、様々な国や地域で展開を広げていきたい




アルーの「社会課題解決プログラム」では、語学学習や異文化体験に留まらず、ビジネスと社会課題解決の両立を目指した今後も様々な課題に挑戦する機会を提供します。今後もSDGsの取り組みを促進していくなど、研修後も受講者が学びを活かし、企業や社会にポジティブなインパクトを与えることを目指しています。


ライティング協力:金井塚悠生


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次の記事もお楽しみに☆ Alue Insight編集部一同