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落合文四郎 note

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アルー株式会社代表取締役社長 落合文四郎のnoteです。 経営、マネジメント、リーダーシップなど、人材育成に関して探究してきた内容をご紹介しています。
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#マネジメント

人を育てるとはどういうことか?

今回からは「人材育成」をテーマに取り上げていきます。 事業や組織を成長させるのは「人」ですから、人材育成はほぼすべての会社において重要なテーマです。 私は、アルーという人材育成・社員研修の会社を立ち上げ、この分野に20年近く携わってきました。 膨大な事例を通してわかってきたのは、研修のような方法論はもちろん重要ですが、それ以上に「相手の成長にどのように向き合うか?」という人材育成に向き合う姿勢が何よりも重要ということです。 この記事から始まる人材育成の章において、育成

変革においてチームメンバーを置き去りにしないために、リーダーが気を付けるべきこと

前回の記事では、改善・イノベーションの四つ目のプロセスとなる現象の構造・背景の整理について、解決策の方向性が見えてきたときにこそ気をつけたい落とし穴についてお話ししました。 改善・イノベーションの全体像はこちらです。 改善・イノベーションの五つ目のプロセス「改善方針・改善策の直感」ならびに六つ目のプロセス「プロトタイピング」については、戦略についての記事の内容と重複しますので、ここでは割愛します。 これまで、改善・イノベーションのプロセスを述べてきましたが、ここまでの話

問題の構造を捉えただけで安心してはいけないのはなぜか?

前回の記事では、改善・イノベーションの四つ目のプロセスとなる現象の構造・背景の整理についてお話ししました。今回の記事では、解決策の方向性が見えてきたときにこそ気をつけたい落とし穴についてお話しします。 今回の記事も、改善・イノベーションの四つ目のプロセス「現象の構造・背景整理」についてのお話となります。 繰り返されるパターンを生み出す問題の構造を捉えただけで安心してはいけない前回の記事において、問題となっている現象を捉えた時に、その問題をもぐらたたき的に解決するだけではな

問題の構造をどのように捉えるとよいのか?

前回の記事では、物事を見る時の「眼鏡」にあたるフィルター(価値観)を調整するにはどうしたらいいかについて、具体的な手順をお話しました。 今回の記事では、改善・イノベーションの四つ目のプロセス「現象の構造・背景整理」についてお話しします。 現象の構造・背景整理がなぜ必要なのか改善・イノベーションプロセスの一つ目のプロセスにおいては、どの範囲において改善・イノベーションをするかについて意図的に選択しました。その選択した範囲における「現実」をありのままに捉えるというのが、二つ目

自分の価値観を調整するにはどうしたらいいか?

前回の記事では、自分の価値観に自覚的になり、フィルターの調整をするために、自分の主観だけではなく、複数の視点をもつことについてお話しをしました。今回の記事は、具体的にどのような手順でフィルター(自分の価値観)の調整をすると良いのかについてお話しします。 今回の記事の位置付けとしては、前回から引き続き、改善・イノベーションの2つ目のプロセスである「メタ意識の活用と現象の観察」に関する内容となります。 フィルター(価値観)調整の手順こちらが、フィルター(自分の価値観)調整の手

ほんとうの意味で「他者の意見」を聴けていますか?

前回の記事では、改善・イノベーションの三つ目のプロセス「観察のフィルター調整」について、フィルターとは一人ひとりが持つ価値観であることと、そのフィルターが形成される過程には個の生存戦略として過去の経験を通じて培われた過程、もう一つは主体的真理や願いなどによって涵養されてきた過程の2つがあることをお話ししました。 今回の記事では、引き続き「観察のフィルター調整」について、どのようにすればフィルター調整をすることができるのか、また、自分だけではなくチームとしてフィルター調整がで

自分の認知の「眼鏡」に気づけているか?

前回の記事では、改善・イノベーションの二つ目のプロセスである「メタ意識の活用と現象の観察」をテーマとして、現象をありのままに観察するときに、複数の観察モードを持つことが大切であることをお伝えしました。 今回の記事では、改善・イノベーションの三つ目のプロセス「観察のフィルター調整」についてお話しします。 どんな「眼鏡」をかけているかに自覚的になる改善・イノベーションプロセスの一つ目のプロセスにおいては、どの範囲において改善・イノベーションをするかについて意図的に選択しました

現象をありのままに捉えるためにはどうしたらいいのか?

前回の記事では、現象をありのままに観察することの難しさと、自分の認知の限界についてお話をしました。今回の記事では、どのようにすれば、そのような難しさや限界があるとしても、ありのままを観察することに近づけるのだろうかということを考えたいと思います。 今回の記事の位置付けとしては、前回から引き続き、改善・イノベーションの2つ目のプロセスである「メタ意識の活用と現象の観察」に関する内容となります。 複数の観察モードを持つありのままを観察するときに、大切になることは複数の観察モー

なぜ、現象をありのままに捉えることが難しいのか?

前回の記事では、改善とイノベーションの範囲を設定するときに、留意するべき点として、イノベーション(大きな変化)よりも、改善(小さな変化)に偏る傾向があることに留意する必要があるということをお伝えしました。 今回の記事では、改善・イノベーションの2つ目のプロセスである「メタ意識の活用と現象の観察」についてお話ししたいと思います。 ありのままに捉えることの難しさ一つ目のプロセスにおいては、どの範囲において改善・イノベーションをするかについて意図的に選択しました。その選択した範

改善とイノベーションを同じに扱って良いか

前回の記事では、改善・イノベーションのプロセスの全体像をお伝えするとともに、その最初のプロセスとなる「①目的・進め方の直感と決断」についてお話ししました。その中で、改善・イノベーションを実践するにあたっては、「どの範囲において」ということを自覚的に問い、選択することが必要ということをお伝えしました。 この記事では、この範囲の選択について具体事例を用いてお話しするとともに、範囲の選択の際に留意しておくべきことについてお伝えしたいと思います。 当社のストーリー:エンゲージメン

目に見えない課題に向き合うには、どうすればよいのか?

前回の記事では、ビジネス上や組織運営上の課題について、見えるものだけに囚われることなく、多次元的に捉えていくためのモノの見方をするためには、どのようにすればよいかについてお話ししました。 今回の記事では、改善・イノベーションの実践プロセスについて、お話します。 改善・イノベーションの実践プロセス改善・イノベーションについても、ヴィジョン策定や戦略ストーリー創出のプロセスと同様に、3+1意識モデル上の全ての意識を駆使した高度な知識創造プロセスです。上図の3+1意識モデル上に

見えている課題は「氷山の一角」にすぎない

前回の記事では、ビジネス・組織運営において難しい課題であればあるほど、人や組織の価値観レベルの変更(=適応課題への対応)が求められるということ、そして、価値観変容の第一歩は、自分に「見えていないもの」があることに自覚的になることから始まるということをお話ししました。 今回の記事では、どのようなモノの見方をすれば、見えるものだけに囚われることなく事象を捉えることができるのかについてお話ししたいと思います。 Outside the box突然ですが、みなさんにクイズです。

変われないリーダーに共通するたった一つのこと

前回の記事では、改善・イノベーションは、最初のステップである「問い」をいかに適切に立てられるかにかかっているということ、そしてその「問い」はその人のモノの見方に左右されるということをお話ししました。 今回の記事では、変われないリーダーに共通することを題材として、モノの見方の重要性についてお話ししたいと思います。 変われない根本原因は思考モデルにある変われないリーダーや組織について、次のような声がよく聞かれます。 みなさんの中にも、同じようなことを感じている方もいらっしゃ

その問題意識に「問い」はあるか?

前回の記事では、「改善・イノベーション」の章の始まりとして、「意図して変化していくこと(変化しないこと)」の大切さについてお話ししました。今回は、改善やイノベーションにおける問いの大切さについてお話しします。 改善とイノベーションの関係まず、改善とイノベーションという言葉が並んでいることに違和感をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんので、この二つの扱いについて簡単にお話しします。 結論からお伝えしますと、意識の意識化の観点からは、本質的には同じことと捉えています。今後の